３．部会＜学習指導部会＞
板倉 清
（司会）
これから学習指導部会を開催したいと思います。只今から講演をいただき、明日の午前中は、二人の先生方から研究発表をいただいて、あそこにありますようなテーマで２日間これから学びたいと思います。只今から「進路学習指導におけるモチベーション形成の環境整備」という題で富士見中学・高等学校校長の板倉清先生から講演をいただきます。先生は上智大学文学部、私学科及び大学院を出られて、２００８年４月から現在の校長職にあられる方です。どうぞよろしくお願い致します。
（板倉）
それではお話をさせていただきます。皆さんこんにちは。富士見中学・高等学校の板倉と申します。何よりも今回５０回大会ということで、区切りのいい大会にお呼びいただきまして、感謝申し上げております。ありがとうございます。それから今回の大地震やあるいは原発事故で大変な被害を受けられた方々には、心からお見舞い申し上げると共に、こういう状況の中で研修会を実行される皆様方に心から敬意を表したいと思いますし、特に福島県指導教会や運営委員、あるいは事務局の方々にも大変なご努力だったかと思います。有りがたくこの場を使わせてお話をさせていただきたいと思っております。
ただはじめにですね、お話をいただいた時には、戸惑いと躊躇がかなりありまして、今回テーマにどれほどお役に立てるのかなということと、それから私どもの学校の改革は、学習指導ということだけでは成り立たないということで、進路のことや、最後に時間あったら話ししますが、行事、クラブも含めた総合的なあり方というものを追究した部分もありますので、特別の学習指導の理論に基づいて、こういう実践を行って、こういう成果があがったというお話できればいいんですけども、なかなかそういうものはなくて、むしろどちらの学校でおやりになっているようなことを、こつこつと生徒のレベルを基本にして行ったという程度のことかなというふうに思っております。そういう意味では、明日の学力向上のための取組についての具体的な話があると思いますので、今日の私の話は、明日のためのいわば前座として扱っていただいて結構かなというふうに思います。確かに本校はこの２，３年、受験雑誌だとか週刊誌に名前が載ることが何度かあるようになりました。ただそこでの取り上げられ方は、お得な学校という表現が基本的なテーマでありまして、お得な学校というのは、私最初なんなんだろうと思って考えたんですが、一番最初に思いついたのは、うちの学校授業料安いという意味かなというふうに思ったんですが、東京の私学の平均よりは安くするという基本的な方針で動いておりますので、そういう意味かなというふうに思ったんですが、そうではなくてですね、簡単にいうと入学時の偏差値に比べて、出口の部分が非常に進学実績が上がっているという意味で、お得な学校という表現らしいんですね。これちょっと私は心外だなと、心外というか、入口よりも出口が高いということは、結局入口が低いということを言われているだけの話になるわけで、あんまりそういう取り上げられ方は面白くないなと思っていたわけですけれども、ただそういう意味で、実践については特別なことはないと思います。なので最初お断りもしたんですけども、事務局の方から、いわゆる特進コースをなくしてから進学実績があがったということについての話などを含めてやっていただければということなので、それだったら日頃の日常のことをお話すればいいかなという意味合いでお引き受けをしました。このことについては、いろんな東京私学の他の先生方からも、なんでそんな特進コースなくして、進学実績あがるのはおかしいなんて質問されたりもするんですけれども、そういったことから最初お話していきたいと思っております。
最初に、学校紹介やる前に学校の雰囲気を知っていただいた方がいいかなと思いますので、実は先程来１時間半位皆さんお話をお聞きになってお疲れでしょうから、私のつまらない話を聞いて眠くなっても困りますので、本校の生徒の様子を先に見てもらった方がいいかなと思いまして、ビデオを持ってきています。これからお見せするのは本校の、高校３年生の体育祭で行なう創作ダンスです。ある意味本校で一番シンボリックな行事かなというふうに思いますけれども、本校の体育祭９月にありまして、中１と中３と高１と高３が学年全部でマスゲームやります。その中で、ダンスが基本なんですが、中１はボールの踊りとか、中３は祭というテーマで踊るとか、高１はフラッグなんですが、これは長い伝統がありまして、もう５０年以上続いています。始めちょっとお話しておきますと、学年全部で２５０名位踊るんですけども、原則が５０数年間変わらない原則が、制服を着るということと、扇を使うということと、ゴースというんですか、スロッグという白い布を使うというこの３点だけ原則で、あとは２０分ぐらい生徒にすべて任されるという形で、創作ダンス員が各クラスから３名とか４名とか選ばれてきまして、高２の終わり位から準備を始めて、高３の９月に発表するという、その間どうやっているかというと、体育の時間の中に本校はダンスという時間、中１からずうっと取ってあります。生徒が表現するということを大事にしようという発想なんですけれども、その授業の中で、生徒自身が自分のクラスを責任をもって教えるというやり方で、一学期ずうっとやります。構成も、音も、ナレーションもすべて生徒が行うという形で、本校の行事は基本的にそういう立場をとっていますが、そういったものになります。生徒はこれやらないと卒業できないという位、ものすごい、高３は受験が近いんですけども、そんなの関係なくて、それだけは命をかけるというぐらい生徒たちはやるもので、ただ２０分のものを２０分全部やるわけにはいかなくて、三分の一位に縮めたんで、あんまり現実のものと合うかどうかわかりませんが、とりあえずご覧ください。
---ビデオ観賞---
終わると、生徒たちは皆抱き合って泣いて、一緒になって担任も泣いているというそういうものなんですけども、これが本校のシンボリックな行事だということは、今日の話全体でご理解いただければなと思います。
今日のお話の全体は、お手元の資料の中に載っております。まず学校の紹介からお話いたします。本校は山崎学園富士見中学校・高等学校と申しまして、群馬にあります。山崎学園の山崎が実は創立者の初代理事長ですが、最近はご存じない方も多いと思いますが、山崎タネジと申しまして、群馬の出身で、縮めますとヤマタネというふうになりますが、昔のヤマタネ証券、今サクラフレンド証券ですか、ヤマタネ米国とかいう、現在残っているものとしては、日本画のｐ収集で一番大きいといわれる、ヤマタネ美術館を設立したものなんですが、その彼が単なる４０年に経営をいたしまして、単なる良妻賢母ではなくて、これからは経済と社会に関与する女性を育てる必要があるということで、スタートしましたので、こういった教育目標、それから女子教育に着目した校訓も、建学の精神のもとに活動しております。女子高で、中高６か年一貫です。今年から高校募集もしなくなったという状態で、現在高１から文系と理系の希望選択にしておりますけども、現在中１の履修の選択を高２からというふうに常に先送りする予定になっております。雰囲気としては割合、世間様からは明るく元気な学校というふうに言われておりますし、部活も非常に活発で、中学では各学年１００％どっかにいるというような、ただ週４日以内という制限がありますので、週４日の活動するクラブには一つしか入れないということになります。２日のクラブだったら二つは入れる計算、それで１００％超えたりするんですけども、行事は生徒にまかされておりまして、あと特長といえば特にないんですが、校内約６０点の本物の絵画が廊下や階段にかかっている例でないかなと思っております。
本校の来歴としましては、平成元年までは、ずうっと創立以来高校中心の学校でして、平成２年から中学３クラスだったのを４クラスにし、次の年に５クラスにするという形で、中学への重点へ移行していきました。それに伴って高校募集が減っていくという形です。特進クラスがずっとありまして、昭和のころからありました。特進コース編成なくしてフラットなクラス編成、高校からフラットなクラス編成したのが、平成１５年です。文系と理系のコースを希望選択にするという形にいたしました。それから２３年、今年ですけども、高校募集を停止しまして、中学からだけの生徒の高校入学という形になりまして、一番右側の中学入試というところが間違っておりまして、２３年でなくて、２０年から中学入試の３日間とも４科入試に致しました。そんなような学校です。
学校改革という形でお話をさせていただきたいんですが、特進コース無くしたのはなぜかという話なんですけども、いわゆる英語コースと理系、理数コースと普通特進コースがありまして、そのどちらでもないのが、文部コースと呼んだり、総合コースと呼んだりしていたわけですが、それが昭和時代からずうっとあったんですね。その間ずうっと見てますと、整理するときに今から思えば、私覚えているのは、職員会議で、そんなのおかしいと作るときに反対したのを覚えていますけども、進学の面から言うと、結局コースから国公立、早慶とかその辺の在籍に対する進学率は、２０％ちょっと増えるとか、毎年毎年２０年近く１０％に固定しているわけですね。それで生徒の進路希望を実現するということは言えるわけがないということなので、これを廃止しようというふうに決めて実施したのは、平成１５年で、文系と理系を自由に選ばせることをモチベーションにさせて、高校生活に責任を持たせようというような考え方で動き出したということなわけです。
今お話したことは、特進コースは、一部の生徒たちなわけですから、一部の生徒たちから永久に数値を上げ続けることというのは不可能なわけで、その他に特進コースに入れなかった生徒たちのモチベーション形成が全然できないという、うまいやり方があるのかもしれないけども、私どもはそれをとっても大変だったし、それから高１から特進コースがあると、中学３年生のときに、例えば日常的なことでいうと、今日はあの子はクラブ活動にきてないけど、おうちで用事があるということだったけど、本当はそろそろ高校だから特進に入るために密かに勉強していると。女の子というのは、そういうようなところがあるんで、ごちゃごちゃしたところあるんで、やめようということなわけです。逆に本校の生徒のプラス面でいうと、行事なんかは昔から伝統ありますし、そうであるんだったら、行事やクラブだけでなくて、勉強も含めて一人一人が可能性を生かせるような、そういう教育しやすい学習環境づくりの方が、進路希望実現しやすいじゃないかと考えたということと、女の子の場合はですね、皆がやることに対しては結構くっついていくということがありますので、その方がいいんじゃないかということで切り替えたわけです。
その結果、担任たちもクラスが明るくなったといいますし、生徒たちも元気になったと、私の目にも見えますし、それから教員の連帯感がさらに強まったというふうに思っています。だからそのことで、子供たちの学校生活における安心感、居場所づくりがかなり進んだなと思ってますし、最後には教員の意識改革もできたというふうに思っています。要するに特進コースは何やってもできる。そうじゃないクラスは、何やってもできないとかということになってくると、教員がどれほど仕事しているのか見えないわけですね。努力している教員の成果も見えないし、どれだけ努力していないかも見えないし、結局は生徒に頑張れよといっているだけの話になっちゃうわけで、そういうことでなくすことで、教員のモチベーションを高めるよう努力しようというふうに考えたわけですね。その後の様子ですけども、例えばどういうふうに子供たちが変わったかというと、目で見ていただくと、例えばこれ体育祭ですが、高校３年生なんですけども、全員が首にタオルをかけていますが、タオルにはあきらめたらそこで終わりだよと書いてあります。これは体育祭がんばろうと、中高一緒にやって、三色対抗戦の形をとるんで、あきらめないで最後までやろうということと、それから受験も最後までできるだけ頑張ろうという意味を込めて、生徒たちが学年全員で話をして、勝手に作ってしまってたという、そういうものなんですけども、そういう意味でも連帯感というのが強まってきたかなと思いますし、同時に閉会式なんですが、最後に校歌を歌っていたんですが、以前は三色に整然と分かれて校歌を歌っていたのが、特進クラスをなくしたころから、生徒たちが校歌のところになると、勝手にクラスや学年を越えてスクラム組んで、大合唱をするようになりました。そういったところにも表れているかなというふうに思いますし、それから教員もいろんな行事などで、こういう形で、チームを作って各学年に配置して、邪魔にならない程度に走るんですけども、子供たちから見ればこれも一つの安心感かなと思ったりしています。ちなみに私が高３学年担当ということで、必ずアンカーに指名されているんですけども、なかなかきついんですけども。そういうような形ですね。これ合唱大会ですね。教員もいろんな形で動き出したということで、生徒もそれ見て、喜んだり、安心感を感じたりしている部分があります。そういったのもサプライズで急にやるなんていわないで、練習してたりするんですけども、さらにトコトン行くとこまできまして、以前まったくなかったんですけど、最近文化祭はオープニングの時は生徒だけで、開会式ですが、校長あいさつというものあったんですが、近年実行委員会が校長や教頭だって参加しなければだめだと言いだして、あいさつだけはつまらないから、その前にパフォーマンスやれと言いだしまして、それも秘密なんですが、実行委員会が実は今度９月の、何するかと密かに実は地区委員会に進められてきまっているんですけども、４日間ぐらい事前に、特訓ですね実行委員会の、踊らなきゃいけないものですから、誰にも見えない形で覚えるというのはなかなか大変なんですけども、ちょっと恥ずかしいですが、これ先頭私であと二人教頭ですが、何やったかというと、これは舞台に上がって羞恥心を踊れという、そしたらあいさつをするということを条件にして、去年これはドリンクの、アセロラ体操やってから挨拶していいとか言われます。
そういうようなところにも子供たちが、学校生活かなり、前向きにつかまえ始めというような感じしますが、これ同じようなことですが、以前まったくなかった現象が起きてきまして、成人式の日に生徒が勝手に学校に遊びにきたりして、これ私の成人式の写真ですといって、８０％ぐらいがやってきて、学校一切呼んでないんですけども、担任たちを自分たちで呼びだして、写真を撮って帰っていくという、それだけなんですけども、これだけでも子供たちの満足感というのが非常に現れていると思います。コースというのは、いろんな学校でコースあるんでしょうけれども、私ども考えのは、学校の伝統とか、生徒の気質とか、そういったことを考えて、理想的な、いろんな学校方針の競争に勝つか負けるかという話でなくて、目の前の生徒にとって、安心感がもてるのか、あるいはアイディンティティを確立しやすいのか、そういった目の前の生徒のための改革を一歩ずつやろうという立場で考えていきました。それは教員の協力が得やすいということですね。そういう形で、進学経過ですけども、全体の割合はこんな感じです。理系が徐々に増え始めているという状況で、これは皆さんからご覧になって一番右側が特進コースあったときの進学実績ですけれども、要するに国公立、早慶、上智、在籍の中でどれくらい入ったかということですが、２０％程度だったのが、今努力しながら４０％超えるようになってきている状況です。 実はもう一つ付け加えますと、これは実績で、進学と少しずれる、かなり進学実績に近いですけれども、今言ったグループの中に入った人一人だけカウントするという、ただし受かってしまった後、薬学受かったから、こっちやめたとなると数が減るということになるわけですけども、一番右側のところの偏差値はですね、中学の時偏差値５３位にいっていたんですね。ところがどんどん下がりまして、逆にそれ以上の成果をあげはじめたのは、なんで注目を浴びたかというと、４６～４７位で中学に入ってきた生徒が、高校出るときに、中学入学時５５～５６位の学校と同じぐらい成果が上がっているという意味で、注目を浴びたという部分があるかと思います。もちろん特進コースなくせばあがるという話でないので、これから本題に入りますけども、進路指導の話と学習指導のお話をさせていただきたいと思いますが、私どもは、社会に貢献できる自立した女性の形成を目標に、創立者の精神を生かして、こういうのを目標にしておりますので、それを実現するために進路指導と、学習指導と、行事クラブなどを通した人間的な成長と、この３つの分野をバランスよく、６年間どうやったら成長できるかというふうに考えてスタートいたしました。そのために６年間、学年ごとの目標と個人の目標をまず設定いたしまして、中学と高校を設定をいたしまして、これに基づいて、文書と学年と教科がいかに協力をしていくかという体制づくりを行ったということです。
まず始めてに進路指導の考え方について、お話させていただきますが、本来は学習指導だけのお話だけでなくて申し訳ないというのは、そういう意味なんですが、私どもは進路指導と学習指導をセットで考えている部分があるんですけども、６年間というのはどちらでもそうかも知れませんが、まず中学に入って、自分がいて、中学で可能性を広げていって、そのためには社会について視野を広げていく必要があるし、その上で文理選択をして、志望校を選択しながら、長期的な学習計画を行って、大学受験を目指すという、どちらの学校でも同じようなことだと思いますが、本校は進路指導を行うにあたって、この三つをかなり重点目標にいたしました。
今日はこの重点目標の一番と、二番についてご紹介をしておきたいというふうに思います。６年間の進路指導は、こんなような、中１～高３まで組まれておりますが、全部お話をする時間はありませんので、進路指導の１，２についてお話しますが、基本的に進路指導というのを、私どもは進学指導という言葉を絶対使わないようにしておりまして、生き方学習という言い方をしておりますけれども、将来の自己実現について、自分なりの方向だけをしっかり持ちなさいと。その方向を活かすための準備の場として、大学を選びなさいというのを原則にしております。つまり６年間で自分を知るということと、社会を知るということ、それから興味関心を追求して、先輩や大学の先生の授業を聞いて、自分らしく生きるために大学を選ぶということが、共通のテーマになっております。自己肯定感というのを、どういう内容で進めていくかというお話をしますが、
まず中１の入学式からすぐに宿泊オリエンテーションという形で、外で１泊２日で出かけます。目的はですね、中学生としてスタートするときの仲間づくり、それから、自己肯定化、コミュニケーション能力の育成という、１泊２日ですから、そんなにいっぱいやることできませんが、８つ位グループワークを行います。ただし最初から話をして仲良くしなさいというやり方をしないで、逆に最初は話してはいけないという形で、できるだけ多くの人の顔とぶら下げているネーム、紹介カードを見て歩きなさい。その次にできるだけ多くの人と挨拶をして、過ごしなさいというような、非言語と言語の作業を交互に繰り返していくことで、徐々に自然に会話ができるようにというスタイルをとっております。たとえばバースデーラインのエンカウンター理論なんかで、よく行われますけれども、全員いっさいしゃべらないで、誕生日順に並びなさいという指示をします。６分か７分で２４０名並びますけども、並び終わったら月ごとに分けて、もう一度自己紹介を含めて会話をしなさいというような形で、グループワークをやっていきます。食事のときも席に意味をもたせて、なんか何の意味だか話し合いながらご飯を食べなさいと言う形でやりますけども、そうすると子供たちは自然とクラスを越えてですね、いろんな形で交流するようになってきますし、あるいは無人島からの脱出なんていうのは、グループを分けて無人島から脱出するために、どうしても必要なものをそれそれが、紙に書きなさいといって書かせておいて、グループで今度はそれなぜ必要かということを、説明をグループ内でさせて、グループとしてどれを一番大切にするかを議論させて皆の前で発表するという、そんなものもコミュニケーションの練習になってきます。最後にはクラス名を、うちは漢字なんですが、いっさいしゃべらないで、人文字を作ってクラス名を書きなさい。そうしますと入学式にこういうような固い顔をして教室に座っている子供たちが、こういったオリエンテーションの様子ですけども、一つ一つのグループワークの振り返りもします。そうすると２週間もたたないうちに、紙を向けられただけで、こういうような顔をするようになってきて、私たちはここから教育が始まるというふうに考えております。その他にグループワークうちはたくさんやるんですけども、ちょっと紹介しますと、ゲーム感覚で楽しくやるのと、場面を設定して、貴方ならどうするという形の討議をするグループワークがありますが、例えばゲーム感覚に関して申し上げますと、こういったうちで作ったサイコロトーク、サイコロを振って出た目のところを皆の前で話をして、ゴールへ向かうという単純なゲームですけども、ここに好きな食べ物とか、血液型とか、タレントとかというふうに始めていって、だんだんと教科のことだとか、高校に入ったらどっちのコースにいくかとか、あるいは将来結婚いつごろするだとか、あるいは好きな職業とか、あるいはなりたい職業とか、こいつは仕事を辞めるのかとか、そういう形でゲーム感覚で、始めてだと思いますが、自分の将来のことを思い描いていく。口に出すということが大事なんですね。あることについて言うと、ものすごく着実に考えて、ひしひしと決まっていたりする子供がいたりすると、他の子供がものすごくショックなわけで、それも一つの勉強ということになっていくわけですけども、そういうグループワークだとか、場面設定に関していうと、コミュニケーションスキルをアップさせるためにということで、例えばこういうケースがあります。去年ですけど、年間何回もあるんですけども、そのうちの一つです。テストで失敗してしまったという自分がいて、それをＡさんに打ち明けた。誰にも言わないで打ち明けたんですけど、あくる日Ｂさんにテスト悪かったでしょうと言われてしまった。とてもショックなはずで、言われた本人がＡさんに対してどんな感情が起こったかということを想像させます。怒りだったり、悲しみだったり、不信感だったり、驚きだったりしますけども、それはなぜそういった感情が起きたかと言うのをグループで話し合わせるわけですね。そうするとＡさんがＢさんに話したんじゃないかとか、Ｂさんが自分の数学の点数が悪いこと知っていたということは事実なんですけども、馬鹿にされたんじゃないかとか、いろんなものが出てきます。原因として。ただしそれは事実と思いこみをしっかりわけなさいという形で、確実に事実だと思うものと、そうじゃないものと分けていきなさい。つまりいろんな日常生活の中で、冷静に事実に基づいて考える力をしっかり養うというのは、こういったケースのスタートだと思いますので、こういったグループワークを本校はとても大事にしております。
それからこれ今年始めて行ったんですが、語り場というＮＰＯ法人がありまして、そこから社会人とか学生を派遣してくれるんですけども、将来を考えるきっかけにという意味で、社会人の方に来ていただいて、こういう形で話をしていただきました。結構紙芝居ふうにですね、自分の経験をずうっと話をしてくれので、子供たちは結構聞くのに集中して聞きます。合わせて高１の方は、大学生を５０人位呼んで、グループ化して話をしてもらったんですが、やはり紙芝居方式でやります。高校の方は３回やって、最終的には生徒の方で紙芝居作って、自分で高校生活をこれからどう過ごすかということを、自分なりの方針を皆の前で話をするということで、ワンサイクル終わるんですけども、すべてがうまくいくわけじゃないんですけども、それなりに自分の決意を表明していくという形になります。こういうように自己肯定感という、要するに自分は自分でいいんだという、自分らしい努力をすればいいんだと、そういうふうに思うということはとても大事なことだというふうに考えております。いろんな人のいろんな思いを聞いて、安心感ができていくし、集団として成長するという土台が作れていくんではないかと考えたりしているわけです。カウンセラーの話は、時間の関係もあるので、あまり細かい話はしませんが、本校は二人カウンセラーがいますが、中１、高１と高３は必ず生徒たちに講演してもらいますし、同時に保護者がいるときに、必ず生徒のおかれている状況を話をしてもらいます。親子の関わり方の問題も含めて、保護者には話をしてもらいますけれども、そういった、特にストレスというものは何かということを中心にして、子供たちにもストレスとうまく付き合う方法とかいう、そういった話もしてもらっていますけども、これもかなり子供たちのアンケートを見ると、好評で、なんか自分が特別だと思っていても、そうじゃないみたいだということは、結構落ち着きのきっかけづくりになっているようであります。
もう一つですね、他者からの刺激という流れがありまして、６年間には。中２中３の企業訪問とか、講演会とか、これはどちらでもおやりになっているでしょうし、講演会でも企業の方もいれば、障害を持っている方来ていただいてお話していただくというのが、定番になっておりますけれども、そういったお話だとか、あるいは障害児を教えている学校の先生が来ていただいてお話をしていただくとか、そういったことはやっています。ただ本校は、ここでお話したいのは、先輩との交流を結構大事にしていて、今日もその中の一つですけども、持ってまいりましたので、ご覧頂きたいと思います。中２と高３まで、卒業生となんらかの関わりを持たせようとしております。１年１冊、これは卒業生が後輩たちのメッセージという形で、勉強の仕方とか、科目の扱い方とか、そういった経験を大学受験の注意とか、一人が書いたのを手書きでそのまま綴じて、高校生全員に、中学生にも渡しますが、お話を聞いていただく前に、ちょっと目を通していただければと思いますけども、すみません、３年分ありますけれど、一個みれば雰囲気は分かると思います。それでは話の方続けさせていただきますが、中２年には３月に卒業式が終わった高校生が中２の各教室に入ります。そして文系、理系選択していきますけども、４月からどういう大学に行って勉強するのかということや、大学生活で自分がどういうことを目指していくかという決意表明をしてもらうと同時に、中学や高校の過ごし方についてのアドバイスをしてもらうという形をとっていますし、それから中３には卒業生の社会人にシンポジウムを毎年やっています。６人とか、多いときには８人、１０人きますが、実際社会で活躍している人たちが、仕事についてどう思っているのかとか、あるいは社会、卒業するためにどういう努力をしたかとか、どんな大学での過ごし方をしたかという話をしてもらいます。特にまんなかあたりにいる白っぽいのを着た子は、ウェーザーニュースに努めて、ゲリラ豪雨という言葉を流行らせた張本人だと聞いておりますけども、こういう先輩たちの活躍は、子供たちにとって大きな刺激になるかなと思っています。つまり有名人とか、社会的行動のある方とか、来ていただいて講演してもらうのは、それはそれでいいんですけども、それで刺激をうける生徒というのは、どれほどいるんだろうかと考えるわけですね。そうするとこの卒業生っては、自分と同じ場所で暮らしていた人たちなわけですから、当然そうするとその人たちがやっていることというのも、生徒にとってみれば、同じクラブだった人だとか、同じ委員会だった人たちが、そうなっていくわけですから、自分にとっても身近で、かなり実現可能性な物語として、生徒たち受け止めることが多いんじゃないかという意味合いで、卒業生をかなり重視してということにあります。これは中３のそういった、卒業生、社会人の聞いた結果ですけども、時間が足りなくなるでしょうから、ここではご紹介できませんが、レジメの方であとでご覧下さい。高校１年生には大学生のシンポジウム。大学生活の説明などの方法、大学生活全般についての解説を大学の３年生にしてもらいます。高２になりますと、今度は大学の２年生を呼びまして、学部・学科の話をします。つまり中３からだんだん狭めていくように、生徒を、ターゲットを絞りやすいように、積み上げていくというやり方を作っています。これはその感想ですけども、これもあとでご覧下さい。最後に高３の時に大学１年生に行くんです。なぜかというと、大学入試に一番近くて、一番新しい情報を持ってて、一番経験をビビッドで語れる人たちなんで、わざとこれを意識して組み立てているつもりでいます。
それからもう一つ、他者からの刺激で、予備授業にいくというのをやっていますが、予備授業に行くというのは、放課後に２～３年同時にですね、ある一日の放課後に参加して、大学の先生が授業やっている状態を作ります。それを１週間から１０日間続けます。これももともと高校２年生に学部、学科を絞らせ始めようと、つまりどこの大学はどうでもいいから、行き先は学部・学科なんだからという意味で始めたことなんですが、高１や中３も出たいと言い出しまして、今は中３以上いいという形にしてますが、これは今年あったもので例として載せておきました。もちろん文系だけじゃなくて、理系の方もありますけれども、こんな感じで放課後自由に大学の先生の授業を受けることができます。この画面の一番上の方に、セーラー服着ているのがいるんですが、これ中学３年生、中３はテーマによって、テーマによってかなり出席率が高くなる講義もあったりもします。本校は高校はブレザーですけども、中学はセーラーなんで、こんな感じになります。この予備授業にいくというのは、単に大学選定のための、学部学科を理解しなさいという意味合いだけじゃなくて、これとてもいいのは、子供たちは大学の先生の話を聞いてですね、学問というのはどういうものかというイメージがわくことと、その学問の深さとか、その深さを知るんですね。知ると同時に自分たちが日常やっている勉強と、どう結びついてくるのか分かってくるわけです。そうするとその話のあとに、自分の日常生活を見る学習に対しての意欲が、結構変わってくる子がいたりもします。もう一つ他者からの刺激という意味では、これ説明会、長くは話さないようにしますが、高１高２に対する大学の説明会、本校の生徒がよくいく２０位の大学に来ていただいて説明会をやりますが、合わせて高３だけに絞った説明会も開くという形にしております。同時に、当然東京は地の利はあるわけですが、皆さんに申し訳ないんですが、いろんな大学に行きやすいというのがありますから、個別見学やオープンキャンパスにできるだけ参加するというように指導します。ポイントは行って終わりじゃなくて、行ったら報告をちゃんとまとめなさいと、まとめたら、こういうふうに画面のようにグループでお互いに報告しあって、情報を共有しなさいというようなことをやります。つまり受験勉強を個人個人の人から、厳しい努力っていうんじゃなくて、うちはとにかく皆で頑張ろうという雰囲気作り意識しています。だから先程も実績をお見せしましたけれども、たとえば大学入試で、特選ＡＯ推薦でいく生徒は、生徒２５０人１学年にしますけども、指定校推薦でいくのは５～６人だけです。あと全部受験です。これも昔は指定校でどんどん決めてしまっていた、推薦で決めていた生徒をできるだけ受験に向かわせようと、挑戦させようということでやってきたんですけども、そういう意味では、様変わりしました。子供たち今受験を、体育祭で頑張ろうと、さっきのビデオ見ていただきましてけども、受験前だからやらないでおこうという生徒は誰もいないんですね。とにかく熱中する、最後の学校行事となりますお子さんにとっては、それ終わったらまた受験皆で頑張ろうという雰囲気がようやく出来てきて、個人個人の受験というよりも、チームというか団体戦というとらえ方をする感じが、生徒たちに非常に強くて、放課後も一緒に残って勉強するという、そういう傾向が非常に強まってきた昨今かなと思っております。そういった進路指導に加えて、実際それを実現するために、学力が必要になってくるわけで、そこのところ今日のテーマで、ごく一部しか書かなくて申し訳ないんですが、基本的な考え方としては、基礎学力を定着させるということと、興味関心を引き出すということと、自学自習の習慣化をつける、本校の学習指導はこれにつきます。
簡単にいいますと、特進コースなくしたときに、学習指導どうするかという相談をしたときに、まず先取りをやめようという提案をしました。つまり何のためにやっていたかというと、うちはこれだけ先取りして、高校のことを中学でやる。高１のことは皆終わってしまって大学進学有利ですよとか、宣伝するためとか、その方が生徒の勉強早くできていいだろうとか、いい加減な決め方していたんじゃないかなと思うんですけども、結果は一部の生徒にとってはそれはいいことかもしれないけれども、多くの生徒はこぼれおちていくという、だから進学実績が伸びないんだろうという面があると思うんですね。そういう意味で、生徒募集とか大学進学が有利だという考え方じゃなくて、生徒自身が学習に興味を失うようなやり方は止めようということで、もちろんゼロにはしていませんが、特に数学なんかはどうしてもダメだというんですね。理系の数学やるのにそんなにのんびりやっているわけにはいかないというので、多少やっている部分もありますけど、基本的にはなくしていきました。その代わりこの基礎学力を全員に定着させるということを徹底させようということを、第一の目標にいたしました。ただですね、英国数中心と書いてありますが、生徒は行事も熱中しますし、クラブも頑張ります。という中で、時間がどれだけ使えるのかということを考えて、中学の間は、英国数中心にやろう、もちろん理科と社会はどうでもいいという話でなくて、そうじゃなくて、理科は社会はですね、英国数の基礎学力が定着するための、邪魔にならない範囲での、とにかく理科と数学の学習をしっかりやらせようと意味で、必要最低限のことはちゃんとやりますけども、英国数の宿題をやりきれなくなって困るほどに、理解と社会宿題出し続けるとか、そういうのを止めようということで、学年単位で今何の宿題出しているかという話し合いをしながら、これぐらいまでは大丈夫だろうという範囲で、理科と社会については、興味関心を引き出すというところ、簡単にいうと、英国数でいうと、昔でいう読み,書き、ソロバンみたいな考え方で、理科と社会については、リベラルアクツなんだと、つまり本人の主体性を引き出す手段をこうということで、中学の学習指導を基本枠を作りました。理科と社会については、興味関心をもったら、それを調べる。調べたらまとめる。まとめたら発表する。このサイクルを理科と社会は徹底してやっていくスタイルを、アウトプットを大切に、そういう意味なんですけども。つまりどこが分かったかと、本当に分かったかと、そういう時点で始めて分かるんだから、そういった経験をたくさん積まないと、英国数なんて伸びないよという考え方をとっております。その２番目の興味関心というのは、一般の授業の中で、理科の実験をやったと、そういったことも興味関心を引き出すことになりますけれども、あるいは数学も、パソコンを使って数学の関数や図形の勉強をさせるとか、英語もパソコン使って授業をやるとか、これも結構生徒は面白がります。合わせてこういった校外学習も設定して、中１は理科の教員も全部出て、中１の郊外学習に責任をもつとか、中２は社会の教員を全部出て、郊外学習を責任を持つとか、時間学習も含めてですね。そして生徒たちは興味を持ったことは、全部調べてノートに書いて提出するということになっておりまして、これはその中の一つですが、調べ学習と呼んでいますが、松の木の研究をした生徒、大学ノートに１５頁松についてずうっと調べてくるというようなこと、自分のところに松の木がなくて、お爺ちゃんの家までいって松を調べて提出するということがあります。こういったことは一つの例ですけども、しいたけの松の写真をもってきたりとか、他にどんなことをやっているかというと、理科でいうと花がどういうふうに開くかというのを調べる、テーマはいつ選んで、いつまとめるのか、朝の５時に起きて、３０分置きにずうっと写真を撮り続けて、花がどういうふうに開いていったかを並べて解説して、調べノートを提出する子とか。授業でタンポポをやる。タンポポの胞子がどういうふうに飛んでいくかということを調べて説明する、私はよく分からないんですが、名探偵コナンの登場人物が全部出てきて、すべての質問をしたり解説をしたりしてやっている。これ担当する教員が見て、名探偵コナン、子供いて全部見ているんですけども、本当に登場人物の個性全部とらえて、タンポポの説明をさせていると、これはすごいって、その教員はうちの娘にも勉強させなきゃと、コピーして持って帰ったりしてます。そういうような子供たちは、自分が興味関心をもったことは、ものすごく一生懸命やるんですね。それをできるだけ発表させるという形で、これは発表例の、トンボの一生について発表している。学年全体での発表と、クラスでの発表といろいろなパターンがあります。あと社会の方もやっていまして、宿題提出も明日とか明後日じゃなくて、ゆっくり時間をかけて、しっかり考えさせようという意味で、１カ月後に出しなさいとか、あるいは夏休み中かけてやりなさいとか、そういうことで理科とか社会は、そういうペースで宿題を出して、アウトプットさせていくという形をとっています。
これだけじゃなくて、歴史新聞とか社会なんかは、必ず歴史新聞を興味ある事件、人物について、必ず一つ新聞作って提出しなさいとか、そういうのが出たりします。あと発表に関しては、国語も音読するにもただ読むんじゃなくて、その前グループで登場人物の心理状況や背景を全部登記させて、それをどういう読み方をしたらうまく伝わるかというのを、相談させてから、皆の前で音読させるとか、そういうようなやり方をとっていますし、中１は冬休みに一日家庭の仕事を必ずやりなさいという課題を出すんですけども、その時も全員が新聞を作ってこなきゃいけないし、その中で何人かはこういう形で発表をさせるかというふうにやっていますし、中２の職業調べも同じような形で、総合国語とタイアップして、発表させるというふうにしています。それから遠足に関してもこういうふうな形で発表させますし、とにかくできるだけ皆の前で話をするということを経験させています。これは中学３年生の模擬裁判で、だいぶ前ですが、弁護士の方４人で来ていただいて、実際にあった事件をもとにしてシナリオを作って、裁判官と検察官と弁護士に分かれて、実際の裁判を行うと。だいたい犯人役は教員が犯人役させられるんですけども、その審議を全部聞いて座っている人たちは、有罪か無罪か陪審員として投票するというようなこともやっていますし、一番大きいのは、中学３年生全員に卒業論文の提出を義務づけていますけども、これは一年近くかけてやります。中２の終わりに題を決めたら、まず論文の書き方の講習会をやったりして、序と本論と、まとめと、参考文献と引用と、大学でそのまま出せる内容、スタイルにさせますけども、そういうことも全部自分たちで、途中中間報告をグループで何回かやらせて、お互いの準備状況も報告して、アドバイスお互いにしあうという形で仕上げていって、全員がクラスで報告します。発表します。その中の優秀者は講堂で、パワーポイントを使って説明する権利が与えられているんですが、それは３年生全員が聞くのと、後ろの方にいるのは２年生、つまり下級生にも聞かせるという形でやっております。これは例ですけれども、例は例でたいしたことはないんですけど、うちの教員だった人の参考文献載っていたんで、選んだというだけのことなんですけども、文系理系とにかくいろんなテーマたくさんあります。学習の最後に、自学自習、これが一番大事だと思うんですが、うちはとにかく学校の授業大事にしなさいということと、それから自分で勉強する時間を確保することを考えなさい。これが基本です。そのためにどうできているかというのを、６月にウェンターウィークというのを取って、一週間面接の期間にします。朝からというわけにいかないので、短縮にして、ずうっと放課後にかけて、学校中でやります。だからこの時間生徒は、自分は先生としゃべってなくても何かを考えなきゃいけないという雰囲気はできているかなというふうに思います。こういうような感じでそこらじゅうで面談をしているという状態になります。
その時に一番言うことは、三点固定を煩くいいます。要するに起きる時間と寝る時間と勉強始める時間を決めなさい。ぜったい固定しなさいということを指導します。そうすると一日の生活習慣ができますから、これは成績をあげたものですけれども、Ａ層、Ｂ層、Ｃ層。Ａは成績のいい方、下の方、横は割合ですけども、決まった時間に始める、帰宅毎に夕食をとっているからとかというのは、Ａ層が圧倒的に多いんですけども、決まっていないという人たちは、低層に一番多い。つまりこういうのを生徒に見せれば、生徒は自分がどこにいて、どの位できるかとすぐ分かるんですね。そういう形で、何時間勉強しなさいという言い方一切しません。貴方は自分でどう、自分の生活の中で変えるとこあるのかないのかということを問うていくということをメインにしています。それから勉強時間ですけども、３０分とか、成績のいい子が勉強しないというデータが出たんですけども、そういう意味でいうと、２時間ラインを見ると、Ａ層もＢ層もあまり変わらないんですね。これも生徒に見せます。ということはどういうことか、勉強している時間変わらないのに、なぜ成績変わるか、時間の中の使い方の問題でしょう。それで子供たちは納得するわけです。それをどう改善するかというために、中学では学習記録ノートっていうのがあって、毎日記録することとそれから実際どうだったかということを全部記録とって、担任に提出することになっています。３学年やりますけども、これ単純なスタイルは、中１です。中２中３になると、過去の定期試験、模試の結果を全部貼り付けて、自分の振り返りをできるようにしなさいという形を、年間通して分厚い一冊を作らせますけど、高校に入ったら、そんなことは、もう自分でやりなさいという形で、一切手を引くという形で動いております。
高校生の方に関していうと、高校生の学習をどうするかという討議をして問題点はこの３つ、受験のスタートが多いということ、予備校に通う生徒が多いということ、学習方法が分かっていない生徒が多い、予習をやればいいだろうとか、テストがあるから勉強するとか、そういうやり方しかできていない。それを変えていくのは、どうするかということで、まず３年間の意味をしっかり理解させようということで、先々を意識させる学習指導と言うことを考えました。長期的展望、中期的展望、短期的展望を持たせるということと、自学自習を徹底させるということを方針として出しました。学校を中心に勉強しなさいということと、むやみに塾や予備校を頼らないということですね。長期展望とは何かと言いますと、３年間、こういうふうに内訳しましてですね、高３の１２月までが勉強の期間だと、１月はセンターの受験が始まりますので、その前の１年間が、マラソンでいうと、長距離のマラソンなんだと、実際の戦いなんだと、それは高２の１２月から始まるよという位置づけと、高１の１２月から高２の１２月まで１年間は、そのフルマラソンやるまでのウォーミングアップなんだと。本格的なスタートをするための準備期間なんだから、どういう勉強の仕方をしなければいけないのかというようなことを意識させます。高１の最初は、生活と学習の基礎づくりということになるんですね。なんで高２の１２月を入れているかと言いますと、高２の１２月にはセンタープレがあるわけですね。高３受けます、と同時にうちは高２も受けさせます。そうすることによって、当然高３ほどはできなんですけども、センターの基礎的な問題、結構あったりしますので、子供たちが基礎的な日常の学習を自分はどう克服できているかということを、高１高２の範囲で克服できているかの判定、子供たちもとても分かりやすいことですし、できないのが多かったような気がしますけれども、それはそれで構わないと。そのかわり一年後にそれを克服する。どれだけの溝を自分で埋めればいいかということを、わからせるというようなスタイルの形をとっております。だからウォームアップというのがメインですけども、授業や参考書や問題集に加えて、いかに基礎的なことを大事にやるかということをしっかりやりなさいということをやります。高２の１学期からは本番のスタートですが、本校では高２の１月は高３ゼロ学期という呼び方をして、きちんと体制ができているかどうかを、高２の１２月にチェックをセンターの結果を見ながら、チェックをするという形で、子供たちに認識をさせます。その３年間の長期展望と１年間の意義、中期的な展望と、それを実現するために、学期と長期休業の位置づけを明確にしていくという形を、たえず生徒たちに認識させるようにしているというのが、うちの考え方です。自学自習の方については、日常の授業を大切にということで、予習重視しなさいとか、復習重視しなさいとか、こういったものもはっきり科目的にいったりします。極端に理科は復習しっかりやればいいという言い方をして、生徒たちの心理的な負担を減らすようなことも、わざとやったりもしますけども、それから長期休業については、復習と応用力の養成というのがテーマで、生徒たちに課題も出しますし、自分でもやりなさいという形、課題チェックも休み明けにやったりもします。それから塾に頼らないということですけども、行っていることで安心してしまうというケースが非常に多いですし、遅くまで行って、帰って寝るだけという生徒も多いですし、それじゃあ生徒たちには絶対力はつかないといってですね、要するに実力がつくのは、自学自習の時間ですから、つまり教わったことの確認をするとか、わからないところを調べるとか、自分のための勉強を、自分でやる時間を使った人は、結局知識の定着をしていくわけで、自学自習をやらない人は、大学受からないとはっきり言います。そのためには、高校になると放課講習も含めて、講習制度作ったりもしている。学校の講習は５時半で絶対終わりますから、家へ帰って自学自習の時間がいっぱいできるよというふうに生徒たちには言います。それがちょっとすごくなって、今年の夏、今も講習をやってますけれども、今年の高３の担任は、講座は出すよ。出すけどそんなものに頼ってちゃダメだよと、いかにもあんまり取らなくて自分でやれよと言うかのようです。そんなやり方もあるかなと思って、来年成果が楽しみだよと私は言ったりしているんですけども。
要するに放課後講習というのは、学期ごとの募集です。講座を出して、教員毎に講座内容を発表して、生徒が選ぶという形です。夏期講習も７月と８月と２回ありますけども、同じスタイルです。これは全学年一緒です。中学生は夏期講習しかしません。それから高３だけは専用の冬季講習と、直前講習というのが、学校で組んであるから、学校中心に暮らせるでしょうと言います。その結果どうなったかと言いますと、例えばその特進コースがあったころは、７０％～８０％近く塾へ通っていたんですけども、今どれ位かと言いますと、今年の高３が３０％位、そのうちのほとんどは週１回位しかいかないと行っている人というふうになってきました。現在の塾に通っている人は２４％だと言うことですから、つまり進学実績があがるにつれて、塾へ通う率は減ってきているという状態で、つまり自分で勉強しない人は、受からないよということを、まさに数字が示しているなというふうに思います。このような講習の募集要項で、その中で生徒は自分で選んで、進路室のパソコンで自分はこれ選ぶと決めて、申し込むという形をとっておりますけども、ちなみに今年の数字また聞いてなかったんで、去年の夏の数字は、高１の夏期講座は２３講座、高２は３１講座、高３は７４講座というような形で、トータルでいうと、１２３講座。これはこの講座数も年々減ってきています。自分でやればいいんだよと、あんまりそれが行き過ぎると困るなと思っていますが、面倒見すぎてもいけないけど、まったく見なくなるのも困るなと思ったりしていますが、在籍高校生７００ちょっとですから、一人４個位は取っているという感じかなというふうに思っております。
時間が迫っておりまして、細かいことについての話ができないんで、進路指導と学習指導というものを、私たちはいつも生徒にも車の両輪に例えています。つまり進路指導でモチベーションをしっかり持たせて、それを実現するために学習指導で頑張りなさいというわけですけれども、ただ車の両輪で、両方が刺激しながら進めば一番いいわけですけれども、車はですね、エネルギーがないと動かないんですね。そのエネルギーというのを我々は、あくまで生徒指導どうするかという時に、伝統として、クラブ行事生徒頑張るという伝統があるわけですから、これ絶対なくさないでやりましょうということを、第一に決定しました。なぜそういうふうに考えたかというと、今車の両輪あげましたけれど、要するに車はエネルギーないと動かないと同じように、機械工学部だけじゃないという話ありましたけども、進路指導と学習指導をうまくバランスを取って進む、何をするかというと、私はそれを実行する子供たちの心の成長だと思うんです。年齢にふさわしい心の成長がないと、つまり人間的な成長がないと、将来のことなんか考えられない。だから将来のために頑張るというようなことも考えられない。だから頑張るんだったら、行事やクラブを徹底して頑張らせましょうよ。そのかわりそこで得た挑戦する気持ちや、あるいは達成感、そういったものが必ず進路と学習に生きてくるはずだからということで、人間的な成長を三つめの分野として、私たちはおいて、この三つを６年間にいかにバランスよくプログラムするかということを考えてきたわけです。
実際、協調性や前向きに主体的に生きる力を養うというのは、とっても大事なことだと思うし、リーダーシップというのは、将来のためには必要だと思うのですが、私が強調しているのは、フォロアーシップの方でして、リーダーシップ、リーダーシップといったって、全員がリーダーになるわけじゃありませんので、それだけしていりゃいいというわけじゃないんですね。このフォロアーシップというのは、もともとはですね、アメリカの三大工科大学のひとつ、カーネギーメロン大学の先生が、９３年に著書の中で言いだしたことなんですが、要するにある物ごとを企業でもなんでもやろうとするときに、リーダーの果たす役割は１０％～２０％だと。いろいろな事例を研究しても。あとの８０％はフォロアーが果たしているということを言ったわけですね。じゃあフォロアーの在り方で、一番のポイントは何かというと、貢献度とつまりリーダーのやりたいことをきちんと実現できるようにサポートできる力ですね、それと同時に批判力だというんですね。つまりリーダーが間違っている時に、それは間違っていると言って批判して、より正しい道に進ませることで、一緒に仕事をしていけるようなのが、本当のフォロアーシップだと彼は言っているんですけども、まさにそのフォロアーシップのわからない人は、リーダーにはなれないわけですから、両方絶対必要だというふうに思っています。だから行事をすごく多くして、全員がいろんな形を経験するというのにこだわっています。例えば合唱大会やろうとすると、うちはナス、タケ、サクラというんですけども、中１～中３のナスを全員集めて自由に練習しなさい。タケはタケで別のところで全員集めて自由に練習しなさいという形で、年齢を越えた形で集団を作って、一切指示しません。当然ですね、密かに見ているとそれなりに動き出していくという形をとるわけですね。と同時に中２中１は黙って言うことを聞くだけじゃなくて、全学年にアドバイス用紙を持たせて、中３が歌を歌ったら、中１と中２がアドバイスを書くと言う、交互にそれをやらせます。合唱大会は学年ですから、中１中２と中３は張り合うことはないんですけども、そういうようなことをやったり、あるいは行事があると、全員委員制という形で、学年全員が委員になるということをやったりとか、とにかく行事に対して、自分がとっかかりがある、前向きになる姿勢になるような形をとりながら、リーダーシップとフォロアーシップを両方学ばせるという形をとっております。そうすることによって、子供たちの取り組む姿勢とか変わってきますし、リーダーやった人も、次に行事の時には縁の下の力持ちなんですよ。それを繰り返すということは、とっても大切だということは考えております。
実際行事は、もう時間がないので、細かい紹介はやりませんが、中１～高２まで年間宿泊行事が全部ありまして、ときどき生徒と関わるようにしています。それから沖縄体験学習なんかもですね、沖縄料理作らないと家庭科は体験学習につれていかないとかですね、国語は方言をやるとか、社会は歴史をやるとか、そういう形で教科と必ず結びつくようにしております。それから先程お話した合唱大会ですけれども、その他にもいっぱいありまして、全部ご紹介はできないですが、中３はグループでダンス発表会といって、衣装も踊りもグループで、自分たちで決めさせているんですけども、高校の弁論大会、中学も弁論大会、かつては弁論大会６年間やっていたんですが、中学は教科でもアウトプットが多くなってきたので、中学の方は弁論大会やめて、高校の方だけ残すという形にしたり、生徒の現状に合わせてどんどん変えてもいいかなというふうに思っております。これは中学の生徒会の生徒ですけど、今年ですね、毎年やります。タスキをかけて門の前に朝立っているんですけど、立候補者ですね。いまどき珍しいと思いますが。去年はインフルエンザで全体に集まって演説聞いてというのができなくて、教室でモニターを通して立候補の演説を聞くというふうにしたんですが、この画面にあるのは何かというと、これ全部立候補者です。つまり生徒会８名位の当選者に対して、４０人～５０人立候補しているわけですね。それから中学校の、これは放送室で演説しているところですが、生徒たちの活動は、かなり勉強勉強ではない生活かなというふうに思っています。私は生徒の本当の力を引き出す、行事とクラブと生徒会などの自治活動、この三つが生徒の主体性を作っていく大きな要素なんで、この辺はまだまだ本校は検討しなければならない部分がいっぱいあるかなと思っています。狙いはこういうふうなところで、人間力というのは、結局学力を支えるんだと私思っておりますので、行事やクラブに対してはできるだけ前向きに挑戦をさせたいと思っていますし、その人間力の中でも、中高のテーマは自立だと思います。自立心がつかない子供は、勉強いつまでたっても始まりません。つまりモチベーション、モチベーションという話、今日のテーマにも進路と学習のモチベーションとありますけども、それぞれの分野でうまい方法は、それぞれの学校さんお持ちでしょうけども、私どもは子供たちが自立に向かうということが、最大のモチベーションだというふうに考えておりますので、この三つの分野をバランス良くというのは、そういう意味があります。
こういった改革をした時の観点、最後にですね、一番最初に考えたことは、それまでやっていた進学実績が伸びないから、全部ゴワサンにして、ゼロから理想的コースを作って、そのためにはどういうことをやって、どういう生徒を入れてという考え方をとらないというふうにしました。要するに今やっていることで、どんな小さいことでも、いいと思えることは絶対残すというやり方をしようということで、さっき言った、卒業生との交流で、今や中２～高３まで卒業生来ていますけども、あれはある学年がたまたま一回やっただけなんですよ。それが印象聞いたらとてもよかったというので、いいんだったら、全部の学年に目的持ってやろうよという形、どんな教科とかブンショウとか学年がやっていることの中に、必ずいいことがあるんですね。それを絶対活かして、深めて共有化するということを皆で考えようというふうにして作ってまいりました。それともう一つは、ＰＤＣＵをきちんとやろうと、つまり学年が生徒に６年間責任を持つんじゃなくて、教科として６年間、教科も６年間生徒に責任を持つという意識がないとダメだというんですね。それはブンショウもそうです。だから教科とグンショウと学年には、年間方針を出してもらうようにしましたし、中間の総括もしてもらうようにしましたし、そしてお互いにそれを持ち寄って全体で報告しあって、どういう改善、後半にすればいいかということを、皆で確認するということをやるようにしました。
それから理想的な全体像を前提にして、生徒を適合させるのではなくて、生徒にとって一歩前進ができそうだと思えるような改革をやっていきましょうということなんですね。これは一番意識しました。生徒が学校のためにきているんじゃなくて、先程も吉田会長の話がありましたが、学校は生徒のものだと、まさに私もそう思います。学校の実績を上げるために生徒が来ているわけじゃないし、生徒は人間として６年間の成長を求めてきているわけですから、生徒にとって一歩前進になるような改革でないと意味がないという原則的な考え方にしました。ただし全部決めてしまわないで、最後は生徒が自分で考えて結論出す部分も絶対残すという、枠組みを絶対取るように進めるということ、トータル的に言うと、安心感や自己肯定感を絶えず形成していく、学校が楽しいと思わせるということが一番大事だと考えています。
うちの教育の基本的な方向性ということ、これ最後に致しますけれども、人間力を向上させて、夢のある力を育もうというのは、これは本校の今年一年間の経営方針、学校経営方針の中の教育方針ですけれども、このテーマに基づいて、学年もゼンショも教科もこの一年を本来の６学年の目標とするために、何を、去年と違うものやっていくかということを考えることになっています。その際私は言ってきたことは、あんまり細かいこと校長が言ったってしょうがないんで、私は生徒にも教員にも一年に一個だけ絶対言おう、一年間言い続けることというのを決めてまして、私四年目なので、四つここに載ってますけども、最初の年は改革を進めると、それは生徒主義が現場主義という方法でいきますということを宣言しました。生徒にもそれを言います。教員もそういうふうに言われていると生徒に知らせるわけですね。お互いに緊張感持たせたいということもなりますけども、２年目は失敗させる教育をやりましょうということで、生徒にどんどん一年間失敗しろということを言い続けました。いろんなことに挑戦していっぱい失敗しなさいと言いました。教員はですね、何か忘れ物注意すると、「だって校長先生が失敗していいと言ったもん」という生徒がいるんですよと言いにきますけども、そういうのは失敗と言わないんだと教えなさいと言います。次の年は、モンジ徹底、当たり前のことを全力を持ってやらないと、大きな事はできませんと言う意味で、そういう言い方をしました。今年はですね。ゆっくり急げというのをずうっと４月から言い続けています。ゆっくり急げというのは、フェスフティナインティということとは違います。これも私が作った言葉ではなくて、私は社会科で歴史なんですけども、初代のローマ皇帝、アウグスティヌスが良く使ったことばで、フェスティナというのは急げという命令形なんですけども、ラテン語ですけども、フェスティノが原型ですけども、インティというのはゆっくりと、という副詞なんですけども、つまりアウグスティヌスが言いたいのは、要するに着実な努力を続けることが、一番急いだことになるんだよということを、彼はいいたかったんですね。本校の建学の精神、最初にお話ししましたが、前進・懸命・着実ですから、これもいい言葉を私は見つけたと思って、うちの建学の精神を生徒にもう一回アピールしていくためにも、今年一年はこの言葉を言い続けるからねと、生徒にはことあるたびに話をしております。
そういうような形で学校改革を進めてきた、今日の学力向上というテーマにぴったし合うのがなくて、本当にそこの部分だけ心苦しいんですけども、学習というのは、何度も申し上げますように、勉強しなさいといって勉強するんだったら、そんな簡単なことないわけで、そこにはモチベーションの持ち方からなにから、一人一人のものがあるわけですよね。進路指導も確かに学習のモチベーションになるけれども、一番大きいのは、子供がいかに成長するかということが一番大事だと思います。そういう意味で教育というのは、大学に行くことが第一ではなくて、人間を育てるということですね。未来を作る仕事だと思いますけども、そういう意味では、子供たちの成長ということを、第一に考えると言う意味で、学習はその中の一つの手段に過ぎないというとらえ方をしないと、とにかく進学実績のために頑張ってほしいという発想だと、本末転倒になってしまうかなということを、毎日自分に戒めるようについそうなりやすい、そういう発言をしやすいので、気をつけなきゃというふうに思っているところです。三番目のその他の改革につきましては、既にお話したこともありますし、時間になりましたので、省略をさせていただきますが、あとでご質問などがあれば、本に書いただけでなくて、たくさん書ききれない、止めてしまいましたけれども、ご質問あればいくらでもお答えしますので、お聞きいただければというふうに思います。皆さん方のご期待と違って、常著な方法で申し訳なかったかなと思いますが、それをお詫びして私の報告を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
司会 板倉先生、ご講演本当にありがとうございました。もうしばらく時間がございますので、只今のご講演についての、ご質問やご感想がありましたら、いい機会ですので、ご発言いただけたらと思います。学校名、お名前をおっしゃっていただいてお願します。
● 私の学校は、中高一貫校です。今日のお話聞いていて、統一感というか、中高の統一感が行き届いていると、本当に感動いたしました。いろいろな改革点はお聞きしたんですけども、校長先生がどうやってこれだけのことをさせたのか、どういう仕組みを作ったのか、方法論を・・・。
板倉 それは多分さっき省略するといった、その他の改革の部分に入る話だと思うんですけども、過去から言いますと、私校長になって４年目で、その前に１０年位教頭をやって、どっちにしてもかなり抵抗したんですけども、やらざるを得なくなってしまった。一年間位断り続けてもダメだと言われてしょうがなかったんですが、教頭になったときの環境を言いますと、７０名弱専任がいて、講師が４０名弱いますけども、専任の中の三分の一が私より先に勤めた先輩たちで、教頭になった自分の言うことなんか、何も聞いてくれないという、確かにそういう状況でした。宿泊オリエンテーションやろうよといったら、それ何のことだと年配の人たちに言われるだけの話だったんですが、２～３年それで悶々として暮らしていたんですけども、このままじゃいけないと思って、校長に直訴して、なんかキッカケ作らないと学校は変わらないからといって、一番最初にやったのは、人事を変えました。教科主任とか学年主任をどんどん若手に切り替えました。年取った人はいらないとかという、そういう意味じゃなくて、長い何十年の経験の中で、なかなか思考様式を変えられない人は、当然いるわけですから、でもその人だって生徒指導するときには、いい味を出してくれたりするわけですけども、方向性を作るというのは難しいかなと思って、教科も二十代だろうと何だろうと、皆教科とか何か、ブンショウとか若手に切り替えたということですね。それが一つと、次にはかといって私が教頭として、トップダウンで行ってもダメなんですよ。要するにうちの環境でいうと、うちはちょっと珍しいと思いますけども、ほとんど１００％組合員です。私も組合員だし、委員長や書記長もずうっとやってて、ずうっと昔からトップダウンを拒否する雰囲気が強いわけですよね。これは記録に残りませんよね。やり方を変えようということで、思い切って、校長教頭だけじゃ大変なんだから、皆さんも協力してほしいと、そういう協力のできる人皆さん選んでほしいと。選挙で５人選べといったんです、無条件で。それで私たちも入って事務も入れて、校問委員会というのを作って、そこで全ての学校のいろんな問題点を議論して、それを職員会議に出していくと、つまり職員会議は、自分たちが選んだ５人が持ってくるわけですから、すぐダメだと言えないじゃないですか。そういう形で、同時にその運営委員会というのは、問題点討議だけじゃないくて、提案権もあるということにして、将来の本校のビジョンとかそういったものを全部考えて提案するという前提で選挙してもらいましたから、現状が問題があるといったら、教科主任とか随時集めて、こういう教科ごとに言うとか議論するとか、だからこうして欲しいというふうに持っていくという形をとりました。現在の構問委員会はなんとか今年いっぱいでやめ、なくすということを、校問委員会で密かに検討している。これながされると困るんですけど、それをブンショウや教科がもっと自立して、生徒と一緒なんで、我々が言ってやっていたことを言われなくてもやる体制づくりにしていかなきゃいけないんだという意味での、ブンショウ改革の検討は今さらにしていますけども、おおむねやり方というのは、そういう意味合いで、つまり校長教頭が言ったからやるという意味合いじゃなくて、皆の代表が相談して決めて方向出しているんだから、皆でやりなさいよというスタイルをとって、人事が若手に切り替えてあったということもありまして、そういうことで学校が動き出したというところはあります。ただ基本的な点については、校長判断という形で、トップダウンで言わないと、たとえば事業アンケートをとるとか、そういうことは同じ仲間として言いにくというのがあったりしますから、そういう場合は私が最初からトップダウンで方向は出したりします。
司会 じゃっかん時間があります。あと一名ほど質問ご意見ご感想ございますか。
● 先程のその他の改革、できるだけお願します。
板倉 その他の改革ですか。学校改革の３番目ですが、これは今までやってきたことを生徒にも目に見えるように、あるいは効率をあげるためにという意味、例えば進路室なんかはなかった。あったんですけど、５階の隅っこの方に、生徒の教室がないような階にポツンとあったりとか、そんなのはダメだと言って、職員室の横の二階の一番目立つところに、中高のまん中のところにとって進路室を設定すると、そういうやり方をしました。かなり今中学生も訪ねるようになっていますし、パソコンも１０台位置いてあって、進路担当の教員に相談しても構わないし、自分で情報を集めてもかまわないしというような、そういう目立つところに持ってきたということ。それから自習室の設置というのは、高３専用の自習室を作りました。放課後、夏休みとか。高３だけが使うという部屋作って、これがまたすごいです。試験の前２週間だけは他の学年も行っていいといっているんですけども、他の学年絶対いかないですね。全然雰囲気が違いますから、一言もしゃべらないし、定席を朝奪い合うような状態ですから、他の学年は使いませんけども、それはですね、下級生にも見えるようにしたかったんですね、高３の頑張りを。ある意味で高３だけのためではなくて、メリットがあったかなと思っています。そういう教室をいろいろ使うためにも、高校の募集を減らして、クラスを減らさないと、そういう場所ができないと。うち今ぎりぎりの状態なんで、高校募集を減らしていったという経緯もあります。それから進路指導、講習制度の充実はさっきお話したんでいいと思います。うちは中１～高２まで６クラスで、高３７クラスあります。それは文理混合を作らないという方針で、少人数化するという意味で、担当者も面接も一年中やりますから、高３の担当者が負担になりすぎないという意味で、７クラス体制、少人数化、少ないところなんか２９名なんていうクラスありますけども、そういうふうにしてます。私はもう一つ教室があったら、中１も７クラスにしたいと思っています。入口と出口を７クラスにしたいというふうに思っていますが、やろうと思えばできるんですけども、中高分かれているのに、ぐちゃぐちゃにしないとそれができないので、今悩みの種がそれです。それからそこに出ているものでは、コミュニケーション学習の強化、中学の卒業論文もそうですね。お話できたと思いますので、あとしてないは、休日自習生徒担当日直。これは休みの日に、うちは勉強にきていいんですよ。夏休みに限らず日曜日・休日。クラブに来る生徒はクラブ顧問が必ず指導する。安全管理と指導密着してますけども、勉強する生徒については、来たければどうぞという、教室自由に使いなさいという形だけだったんですけども、それは危ないと。だから勉強に来る生徒は場所を固定して、それまで教室でバラバラだったんですね。来たのもわからないし、帰ったのもわからない。誰がどこにいるかもわからない。そんな不安全なことはないということで、場所を設定して、同じ時間に教員の方に当番制で、安全管理と登校確認と下校確認をして下さいという意味で、生徒たちには自由に来ていいけれども、場所だけは固定するからねという形で、日曜日の日直制度を作ったという形ですね。一日全部だと大変なんで、午前午後と二人に分けて担当してもらうという形にしております。そこに出ているのはそんなようなことです。
司会 まだまだ先生にはいろいろなお話を聞きたいとこですけど、お時間きましたのでここまでにしたいと思います。板倉先生本当にありがとうございました。