野球部「2023 夏甲子園日記」第5回 コロナ禍で得たもの大切なもの

快勝となった初戦の翌日はゆっくり休養日。抽選会から3日間という準備期間。正直これまで慌ただしい日々でしたが、次戦まで時間があることから休みをとることができました。そして今日仙台育英戦に向けて練習を再開しました。昨年の準決勝で大敗した相手で、そのメンバーを多く残す難敵です。なにせ、大会屈指の好投手が複数名いて、先日の浦和学院戦では何と19得点を叩き出した強力打線もあるわけですから容易ではありません。しかし、相手の力が上がったからといって自分たちの力が突然上がるわけでもないので、我々としては粘り強く、そして泥臭く戦っていくのみです。

今年のチームは、下級生の頃はなかなか苦労した世代でした。私はよく「自己中・他人事・マイペース」を三悪要素と考えているのですが、最初はそれに当てはまる選手が数多く、試合も大味なものになりがちでした。いい時はとても強いのですが、歯車が狂うととことんダメになる。そういう傾向でした。

そんな選手たちに大きな変化が生まれたのが1年生の2月。先輩たちの選抜前に野球部の寮で新型コロナウィルスが大流行したのです。野球部の活動は停止となり、寮でも選抜メンバーや部屋ごとに厳しく動線を制限するなど、非常にストレスがかかる時期がありました。こういう時には様々なことを選手たちが共有し、周りを見ながら行動していかなければなりません。まさしく三悪要素とは逆のことをしていかなくてならないのです。そこに「先輩たちを選抜の甲子園に送り出すために」という思いも強く重なり・・・。練習は長期間できませんでしたが、「自分以外の他の人のため」に数多くの「我慢」を強いられたことで、彼らは大切なものを学んだのだと思います。

コロナによって奪われたかけがえのないもの。その中には「命」や「時間」など取り返せないものも多い。でも私たちはコロナ禍で得たものも少なからずあるのだと思います。教育に携わる我々は、それをしっかり整理して次の世代に語り継ぐことも大きな使命の一つなのかも知れません。