新井秀校長説教集47<終業礼拝>~行いをもって誠実に愛し合おう~

2020年12月24日(木)

2学期終業 礼拝説教

- 行いをもって誠実に愛し合おう -

『ヨハネの手紙 一』3章18節

2学期終業の日を迎えました。毎日コロナの影響で辛く苦しい日々でした。でも、先生方の丁寧な指導・助言を生徒諸君がしっかり守ってくれたお陰で、一人の罹患者も出すことなく今日を迎えられたことを嬉しく思います。新しい年がどうなるのか楽観できませんが、守るべきことをしっかり守り、正常な学校教育を続けていきたいと思います。

さて、先ほど読んで頂いた聖書箇所は、今年一年の大切な聖句です。「言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう」。何て美しい言葉でしょうか!もしこの言葉が実現したら、どんなに愛に満ちた住みやすい世界になることでしょうか!

12月20日(日)、私は福島市の飯坂教会で説教の奉仕を終え、伊達駅に帰って来ました。改札口を出ると駅員さんが追いかけて来ました。「校長先生、サッカー部の生徒や他の部の生徒さんが、駅の周りの除雪をしてくれたんですよ!

本当に助かりました!有難うございました!」とのことでした。素晴らしいですね。「行いをもって誠実に愛し合う」人々がここにいたのです。しかもそれが本校生たちなのですから。私は素敵なクリスマスプレゼントを貰ったような、大きな喜びに包まれました。

1学期の終業礼拝で私は、20歳の時の東北地方のサイクリングで、夜雨で苦しんでいる時、小学校の校長先生から保健室に泊めて頂き、カツ丼までご馳走になった話をしましたね。覚えてくれていますか?翌日の話もしたいのです。翌日は青森県の三戸から岩手県の盛岡までの約90キロのサイクリングでした。

天候にも恵まれ、午後の4時近くには目的地の盛岡市に着きました。護国神社にテントを張らせて貰って泊まる予定でした。この神社には前の年、大学のワンダーフォーゲル部の合宿でテントを張って泊まらせて貰っていました。出発前に往復はがきを出し、テントを張ることの許可も頂いていました。神社の社務所に行き挨拶をしました。すると宮司さんが「空いている部屋があるから、テントなど張らずに、家の中に入りなさい」と言うのです。「えー、いいんですか?本当ですか?」。私は有難く、そうさせて貰うことにしました。荷物を整理し、2晩も風呂に入っていないので銭湯に行きました。「腹が減ったなー。近くの食堂に夕食を食べに行こう」と考えながら神社の部屋に帰ると、何と夕食の用意がされていたのです!えー!驚きです!家の中に泊めてくれるだけでなく、夕食まで用意してくれたのだ!お代わり自由の炊き立てご飯とお味噌汁、お漬物、カジキマグロの煮つけ、の夕食。50年以上経った今も忘れません!何と美味しかったことか!有難うございます!本当に有難うございます!

それから25年も経ったでしょうか。私は何度も盛岡に行く機会がありました。

護国神社の前も何度も通りました。その度に、宮司さんご夫妻の親切を思い出しました。同時に、この間何のお礼も言っていない罪悪感に襲われました。「次回盛岡に来る時こそお礼に伺おう」と決心しました。その日私は宇都宮名物の餃子を持ち、護国神社に伺いました。すっかり大きくなった神社には多くの巫女さんが働いていました。あの宮司さんは既に亡くなれていて、息子さんが応対してくれました。全てを話すと、笑顔を見せ、「えー、父がそんな親切をしたんですか。宇都宮の餃子、有名ですよね。父もきっと天国で喜んでくれるでしょう!遥々遠く宇都宮から来ていただいて有難うございました!」と言って下さいました。

今も50年以上前のこの宮司さんご夫妻の親切は忘れたことがありません。私もこの万分の一でも、人様に親切が出来る人間になりたいと思わされています。除雪をしてくれた部活の生徒諸君のように、聖光学院の全員が、困っている人の傍らに立つ、愛の人、優しい人になって欲しいと心から願う者であります。